



護摩木に込める今年一年の感謝

お火焚祭は、秋の収穫後に今年一年間の五穀豊饒への感謝をあらわす神事で、江戸時代から京都地方の神社などで行われてきました。
なかでも伏見稲荷大社で行われるお火焚祭は各地から護摩木が寄せられ、その数なんと十万本以上、全国一のスケールで催され毎年多くの観光客で賑わうお祭りです。
本殿では11月8日 午後1時より、眼力社さんでは11月28日 午後2時より執り行われます。
眼力さんのお火焚祭

眼力さんのお火焚祭は、毎年11月28日に執り行われます。かつては五穀豊穣を神様に感謝する行事でしたが、現代では一年間の家内安全や商売繁盛を感謝し、無事過ごせたことに御礼するお祭りとなっています。
お火焚き祭の日は朝早くから参拝人が訪れて、お参りをすませたあと、護摩木に一年間無事に過ごせたこと、商売繁盛できたことなど祈願成就の感謝の気持ちや、来年一年に向けての祈願や願い事などを各々に書き記します。その日参拝できない場合は、お火焚祭当日までに眼力さんで護摩木を書いて預けておくこともできるそうです。

日頃は静粛に包まれている眼力さんのお社周辺が、護摩木を手にした多くの参拝人で埋め尽くされる頃、大祓詞と神楽女の神楽舞が始まり、それまでの喧噪は一気に消え、辺り一帯に緊張が走り、空気がピンと張りつめます。
数人の神主らによる儀式がひととおり終わると、神田で獲れた稲のわらに火が点けられ、辺りに白煙が立ちこめます。全国から寄せられたおびただしい数の護摩木がそのなかへとくべられていくにしたがって、白煙は炎へと変わっていきます。

自分の書いた護摩木は感謝の気持ちを胸に、自らの手で炎の中に投げ入れます。
やがて天を焦がすかのように立ち昇る炎は、次々にくべられていく護摩木によってますます勢いを増し、その焔立つ炎の燃えさかる様を見ていると、護摩木に託された感謝の気持ちや願い事が本当に神様に届けられていくかのように感じて、最後の護摩木がくべられてもまだなお燃えさかる炎に見入ってしまいます。


迫力溢れるこの伝統行事“眼力さんのお火焚祭”は秋の京都を訪れたなら、まさに観るだけでも一見の価値あり。
もちろん観るだけではなく実際に護摩木を焚いてお祈りするのがお奨めです。不思議なのは、お焚き上げを終えて稲荷山を本殿に向かって下りだす頃には、いつものお詣りの数倍もすがすがしい気持ちになっていることです。
神様にお守りいただいていることに感謝する。
それがどれほど気持ちよくすがすがしいことか…

何年か前、初めて眼力さんのお火焚き祭に行きました。
もともとお火焚き祭とは五穀豊饒の感謝をする神事だったそうですが、今ではその年一年間、眼力さんにご利益をいただき、お守りいただいたことに御礼するためにお参りされるようになったことをその時初めて服部さんからうかがいました。
あれから眼力さんの多大なご利益をいただいた私は11月28日は必ずお礼参りに参拝していたのですが、一昨年母が体調を崩してから都合がつかず残念な思いのままでした。
それがようやく今年は参加できそうなのでほんとうに感涙の思いです。眼力さんにお願いをするよりも、眼力さんにお守りいただいていることに感謝する。それがどれほど気持ちよくすがすがしいことかお火焚き祭に参加すれば身をもって体験できます。
今年からは必ずお火焚き祭には、一年間お守りいただいたことへの感謝に眼力さんにお参りさせていただきます。
お火焚き祭には神様に感謝を

今年は新型ウイルスのおかげで月日が足早に過ぎ去り、季節の変わり目がよくわからぬまま年の瀬を迎えそうです。
お火焚き祭もうすぐですね。現代のカレンダーでは12月31日が暮れになりますが神社(神仏の世界)ではお火焚き祭が暮れに当たるのだそうですね。それが海外でいう『感謝祭』と同じ行事だと教えてもらったことがあります。交流のなかった時代に目に見えないものに感謝することが世界共通だったのは興味深いです。
私も今月早々に縁起物を返納し、稲荷山の神々にお礼を申し上げてきました。ε-(´∀`*)火焚き串もしっかり奉納し、今年も災厄がなかったことに感謝しています。合掌。
〒612-0804 京都市伏見区稲荷山官有地19 眼力大社前 TEL(075)641-6051 (大西)