



商売人のあいだで密かな人気を集める隷書文字。

相場界の重鎮、鏑木先生が奉納された鳥居(鏑木先生の鳥居>>>)の文字は隷書体で書かれています。隷書体の文字はいろんなところで多く使われますが、正統に書かれた隷書体は珍しく、先生の鳥居の文字を見て、その文字の書き手について尋ねて来られる方は少なくありません。また、その書き手による隷書体で造った印鑑は、一部の商売人のあいだで「眼力開運吉相印」と呼ばれ好まれているそうです。
隷書(れいしょ)の歴史は楷書・行書・草書よりも古く、中国の秦の時代に生まれた書体です。篆書(てんしょ)と共に書の起源とされている隷書は、漢の時代には分書、または八分ともいわれ、やがて中国全土で広く使用されるようになりました。
隷書の威風堂々とした高貴なその書体は、現代の日本でも紙幣の文字をはじめ、社名や書籍の題名などといった格式の高さが求められる文字に最もふさわしい書体とされています。

最近ではパソコンのフォントにも使われるほど普及した隷書ですが、それとは逆に、正統な隷書を書くことができる書き手がほとんどいなくなっているようです。
事実、鏑木先生もご自身の鳥居の文字に正統な隷書を所望されたところ、書き手を捜すのにたいそう苦労されたそうです。今では先生の鳥居の文字をご覧になった方から、その書き手に社名や社訓、それに表札、案内状などの依頼があるそうです。
正統な隷書に密かな人気が集まる理由は、「眼力開運吉相印」の人気の例と併せて考えると、ただ単に文字としての美しさや希少価値だけによるものではないように思えます。
正統な隷書の書き手はずいぶんお歳を召された方ということです。お元気なあいだに私も何か書いていただくつもりです。人気の理由が私にもわかるでしょう。
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